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和楽器オーケストラ 「AUN J-Classic Orchestra」×SIS

和楽器の音色を世界に広げたい 【2】

デジタルで和楽器を身近な存在に

写真武藤 僕らが和楽器に関心を持ったのは、ちょうど2011年にパリで開かれたJAPAN EXPO。SISが共同開発した木の折り紙「きのかみ」を持って日本ブースに出展したとき、会場でAUN Jのサブメンバーによる三味線の演奏ライブが行われていました。その模様を傍らで眺めていると、三味線を弾き始めるやいなや来場者の外国人がどんどん集まってくる。そして興奮して聞き入っている。この様子を見て、海外ではクールジャパンと言われ、アニメとアイドルばかりが先行する日本文化のとらわれ方にちょっと違和感を持ったんです。なんとかこの素晴らしい和楽器の魅力を世界に発信できたらいいんじゃないかなと。

良平 そう思ってもらえたのは嬉しい限りです。

武藤 でも、どういうメディアを使って広げていけばいいのか。CDをプレスしても、海外で売ってくれる人がいないと難しい。だったら、アプリにすれば世界共通のプラットフォームにそもそもなっているから、世界中の人たちに伝えていける。加えて、和楽器が小中学校で義務教育化されているというのを知ったんです。和楽器は1台1台高額なものですから、子どもたちが実際に楽器を触る機会はそんなにないだろうし、たとえ実習が出来たとしても、それを教える先生が学校をまわるのも限界があるでしょう。デジタルコンテンツとしてのアプリがあれば、いろいろなアプローチで自分が試してみたい和楽器を選んで、音を出したり、聴いたりするような体験はできる。もちろん本物の楽器を触ったほうがいいでしょうけど、まずは子どもたちが興味を持つというところに役立つんじゃないかと思い、アプリの企画を思い立ったんです。

写真公平 伝統音楽とデジタルの組み合わせ。いや、いいところに目をつけたなと正直思いましたね。僕自身もアプリを利用することがありますが、どれもすぐに飽きちゃうんですよね。だから、面白いものを作ればきっと広がるだろうと思っていました。どういうやり方をするのか、想像もつかなかったけど、結果的にかなり納得できるすばらしいものに仕上がりました。

良平 とにかく音がちゃんとしいて、まさに本物そっくりですよね。本当に弾いている気がしてくる。このアプリを使って、きっとマニアックなプレーヤーが出てきますよ(笑)。

武藤 8つの和楽器のセッションもできて、AUN Jの演奏とアンサンブルもできる。日本発で世界に誇れるアプリになるんではないかなと思っています。こういうアプリが海外に出ていって、和楽器と洋楽器のセッションがされたりすると楽しいですよね。

公平 音の素材としてもすごいと思います。DJ系の人だったら、いろいろ面白い使い方を考えるんじゃないかな。

武藤 あと、ライブステージで全員にiPhoneを持っていただいて、iPhoneだけでかっこ良く演奏できたら、世界でウケるんではないかな。すでに、クラシック音楽をアプリで演奏するという事例は海外にあるんですよ。それがかっこいい! 今回はアプリで和楽器。きっと日本人より海外の人がクールだと評価してくれるはずです。

写真公平 おそらくこんなに身近になった和楽器はないですよ(笑)。時間はかかると思うけど、まずはアプリで若い世代から和楽器の魅力を広げていかないとね。でないと、どんどん和楽器自体がマニアックな人たちだけのものになって衰退してしまう。先日、全国邦楽コンクールというステージがあったんですが、子ども連れが来ていて、僕らの演奏が始まるとすぐにすごい反応をしてくれた。こういうことをどんどんしなくちゃいけない。当日集まった邦楽の先生たちからも「子どもたちに聴いて楽しんでもらわないと、音楽は発展しない」と言っていただきまいした。

良平 大人は義務があって、盛り上がるべきときに盛り上がったりするけど(笑)、子どもは面白くないとまったく興味を示さない。ある意味、手強い鑑賞者でもあります。

武藤 子どもたちに伝えていくためには、親と学校が受け入れてくれることが大切ですね。先日、ある学校の校長先生が僕らを訪ねてきて、「ウチの学校にiPadを導入しようと思っているのですが、いいアプリが全然ない。子どもたちの創造力を伸ばすアプリをぜひ創ってほしい」とおしゃっていました。

公平 このアプリをお薦めしないと(笑)。

武藤 そうですね。子どもたちがこのアプリで作曲とかし始めたら、きっとすごい発想をするだろうと思うし、ちょっと楽しみです。

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<プロフィール>

井上良平・公平/INOUE RYOHEI・KOHEI
1969年大阪生まれ。双子の和楽器アーティスト。18歳で和太鼓パフォーマンス集団「鬼太鼓座」に参加。全米一周1万5000キロという距離を3年かけてマラソンで走破しながら、300回以上のステージをこなす。4回のニューヨーク・カーネギーホール公演を成功させたほか、これまでに世界35か国、国内外で1000回を越える公演を行う。2000年に新しい表現を求め、双子ユニット「AUN(アウン)」を結成。兄の良平は和太鼓と三味線、弟の公平は和太鼓、三味線、笛をいずれも独学でマスター。ステージでは三味線の掛け合い演奏という、2人ならではの"芸"も披露する。2008年に、若手の和楽器奏者に呼びかけて和楽器オーケストラ「AUN J-Classic Orchestra」を結成。メンバー8名で、和太鼓、三味線、箏、笛、尺八、鳴り物による和楽器アンサンブルを国内外で演奏する。これまで4枚のCDをリリース。迫力のある公演は海外で高い評価に。和楽器を通した、日本の伝統文化の発信にも努める。

 

>> 「AUN J-Classic Orchestra」公式サイト
>> iPhoneアプリ「AUN J」関連サイトページ

 

武藤新二/MUTO SHINJI
株式会社電通 汐留イノベーションスタジオ チームリーダー/クリエーティブディレクター
1992年、広告会社電通に入社。クリエーティブディレクション、コミュニケーションプランニング・商品ブランド開発設計、ソーシャルデザイン、メディアコンテンツ企画制作など、仕事の領域は多岐に渡る。2010年7月、電通社内に「汐留イノベーションスタジオ」を立ち上げ、社内さまざまなセクションから集まったクリエーター、プランナーを率いる。

 

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