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和楽器オーケストラ 「AUN J-Classic Orchestra」×SIS

和楽器の音色を世界に広げたい 【1】

井上良平・公平(AUN J-Classic Orchestra)
武藤新二(汐留イノベーションスタジオ ディレクター)

和太鼓、三味線、箏といった和楽器で、あるときはロック調の曲を、あるときは日本の童謡を美しく奏で、和楽器をわかりやすく、カッコよく伝える「AUN J-Classic Orchestra(アウン ジェイ クラシック オーケストラ)」。日本文化の素晴らしさを子どもたちや、世界に発信していこうとするスタンスはSISと同じです。そんな両者でちょっと革新的なアプリを創りました。その想いや今後の展開についてお話していきます。

和楽器をカッコイイ存在にしたい

写真 武藤 AUN J-Classic Orchestraは2010年にフランスのモンサンミッシェルで演奏会をしたんですよね。あそこで日本人が演奏したのは初めてだと伺っています。日本でも伊勢神宮や世界遺産の薬師寺といった、普通でないところばかり(笑)。その一方で、幼稚園で体験教室やワークショップをやったりしています。この活動の振り幅がすごいですよね。

公平 僕らは音楽ができるところならどこでも行こうというのが、基本的にあるんです。和楽器って不思議にどこでも合う。教会でも野原でも、スーパーのレジ前でも(笑)、どんなシチュエーションでも合うんです。だいたい電気を使わなくてもできるし、クラシック、ロック、ジャズとほかのジャンルの楽器ともセッションできる。それだけ洗練されている楽器なんだと思います。

良平 職人たちの巧みな手作業で一つずつの楽器を本当にきちっと作っていますからね。海外にも国ごとに民族楽器がありますが、どこもアンサンブルがメインなんです。ソロで演奏して聞かせられるのは和楽器ぐらいかも。

武藤 今年のゴールデンウィークに松屋銀座で僕らが企画した「パパコ百貨店」で演奏していただいたときも、音響機材をほとんど用意する必要がありませんでした。楽器一本ですぐにセッションが始まって人が集まって来る。まるでボール1個あればどこでもサッカーができ、多くの人とつながれるのと同じですね。

公平 だから、できるだけいろんな場所でやっていきたいし、特に子どもたちに聞いてもらいたいんです。音楽を選ぶときに、J-POPやK-POPと一緒に、日本の伝統音楽も選択肢の一つには入ることができればと思っています。

写真良平 楽器屋さんに行くと、ドラムセットの横に和太鼓セットがあったり、ギターの横に三味線が置いてあるのが理想です。そうやって選んでもらえるところまでいってないのが和楽器の今の限界です。和楽器はかっこいい、ああいう風に演奏したいなと憧れになれれば、世の中変わってきます。

武藤 確かにそうですよね。AUN Jを結成したのは、そんな世の中を変えるためですか?

良平 生後半年の娘が「おもちゃのチャチャチャ」のCDを掛けると手拍子するのを見て、和楽器で子ども用のCDを作ったら「パパが太鼓たたいているんだよ」と聴かせられる(笑)と思ったんです。さっそく知り合いのプロデューサーに話をしたら、「ジブリの映画音楽を和楽器で演奏したCDを作ろう」という話に発展していった。で、僕ら2人だけでは足りないので、箏や笛、尺八の奏者を集めたんです。

公平 最初はCDを作るために集めたメンバーでしたが、その後ライブ活動もしようということになってグループの名前が必要になった。2000年から双子ユニット「AUN」として活動していたので、そこにJapanのJとクラシックをつけたんです。和楽器はやはり日本のクラシックですから。

武藤 8人の和楽器奏者が集まったグループとうのはあまりないですよね。そもそも和楽器の世界は同じ楽器でも流派があって、その垣根を飛び越えて活動するのはご法度じゃないですか。まさに革命的な取り組みと言えるのでは?

写真良平 もちろんメンバーにはお師匠さんについてバリバリに修業してきた人たちもいます。でも和楽器をもっといろいろな人に知ってもらいたいという想いは共通で、すぐに共感してくれました。

公平 僕らがどこにも属していない自由だからAUN Jが結成できたんでしょう。師弟関係や先輩後輩といったしがらみ、ないですからね。

武藤 てっきり親や家元から和楽器の演奏技術を継承してきたんだとばっかり思っていました。

公平 まったく違います。中学2年で始めたのがロックのギター。ロックが音楽だ!と信じて、和楽器なんか退屈でつまらないものって思ってましたよ(笑)。高校卒業のとき、当時芸大生だった兄が和太鼓のパフォーマンス集団「鬼太鼓座」に所属していて、「ちょうどメンバーがいないから手伝え」と言われ、海外のコンサートに連れていかれたんです。

良平 和楽器をいじったこともないのに猛練習させられていきなりステージを踏んだわけなんです。すると、1曲目が終わったら観客全員がオールスタンディングですよ。なんで日本の楽器がこんなにウケんのや?それからです、ハマったのは。結局、どの楽器も見よう見まねの独学です。


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<プロフィール>

井上良平・公平/INOUE RYOHEI・KOHEI
1969年大阪生まれ。双子の和楽器アーティスト。18歳で和太鼓パフォーマンス集団「鬼太鼓座」に参加。全米一周1万5000キロという距離を3年かけてマラソンで走破しながら、300回以上のステージをこなす。4回のニューヨーク・カーネギーホール公演を成功させたほか、これまでに世界35か国、国内外で1000回を越える公演を行う。2000年に新しい表現を求め、双子ユニット「AUN(アウン)」を結成。兄の良平は和太鼓と三味線、弟の公平は和太鼓、三味線、笛をいずれも独学でマスター。ステージでは三味線の掛け合い演奏という、2人ならではの"芸"も披露する。2008年に、若手の和楽器奏者に呼びかけて和楽器オーケストラ「AUN J-Classic Orchestra」を結成。メンバー8名で、和太鼓、三味線、箏、笛、尺八、鳴り物による和楽器アンサンブルを国内外で演奏する。これまで4枚のCDをリリース。迫力のある公演は海外で高い評価に。和楽器を通した、日本の伝統文化の発信にも努める。

 

>> 「AUN J-Classic Orchestra」公式サイト
>> iPhoneアプリ「AUN J」関連サイトページ

 

武藤新二/MUTO SHINJI
株式会社電通 汐留イノベーションスタジオ チームリーダー/クリエーティブディレクター
1992年、広告会社電通に入社。クリエーティブディレクション、コミュニケーションプランニング・商品ブランド開発設計、ソーシャルデザイン、メディアコンテンツ企画制作など、仕事の領域は多岐に渡る。2010年7月、電通社内に「汐留イノベーションスタジオ」を立ち上げ、社内さまざまなセクションから集まったクリエーター、プランナーを率いる。

 

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