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第2回:三鷹市立井口小学校教諭 北川史朗


未来づくりは、人づくり(1)

 

北川史朗(にしみたか学園三鷹市立井口小学校教諭)
武藤新二(汐留イノベーションスタジオ ディレクター

 

第2回目のゲストは、三鷹市にあるにしみたか学園三鷹市立井口小学校にお勤めの北川史朗先生。SISが、「1/2成人式」に加わるきっかけを与えてくださった恩人です。「職業コンサルティング」というユニークな授業を考案なさったり、民間企業とのコラボレーション授業を積極的に取り入れていらっしゃる北川先生は、教師という仕事の本質を、「未来を創ること」だと仰います。そのお考えには、SISとの共通点が意外と多いようで......。

 

 

『欠けているからこそ生まれるエネルギー。』

 

dialogue_with_sis_vol2_01.jpg武藤 北川先生は教壇に立たれて20年ほどだそうですが、その間、子どもたちは変わって来ているとお考えですか? というのも、世間ではよく「学校現場に元気がない」といったことがささやかれていますけれど、今回ご一緒させていただいて、「本当にそうかな?」と思ったんです。子どもたちのプレゼンテーション能力は高かったし、先生方の熱意も大変なものでしたから。

 

北川 子どもの本質という意味では、約20年、変わっていないと思います。「知りたい」「生きたい」「つながりたい」という3つの本能は、いつの時代にもある普遍的なものですから。ただ、昔と今で決定的に変わっているのは、物質的な部分です。例えば10年前だったら、パソコンや携帯電話に驚いたけれど、今は別に驚きませんよね。そういった新しいテクノロジーが出た時は、授業の仕方も工夫して食いつきをよくしたりしましたが、結局は、感性の部分を育てなければいけないと、最近では強く思います。

 

 

dialogue_with_sis_vol2_02.jpg武藤 子どもたちの「考える力」には、変化を感じますか? 昨今、社会や仕事の現場でも、考える力がますます必要になってきています。日頃、若い人たちと接していて思うのですが、彼らの潜在能力は非常に高い。けれど、アクセスできる情報量が飛躍的に増えた環境に身を置いていると、自ら考えるという力が減退していく部分もあるのかな、と感じるのです。

 

北川 人間が宇宙に行くと、カルシウムや筋肉がどんどんなくなるって言うじゃないですか。要するに適応していくんです、無重力に。それと同じで、考えるという習慣がどんどん少なくなってきてはいると思います。それこそパソコンがあれば、例えばウィキペディアで「キーワード」→「検索」でいろいろ手軽に調べられたりだとか、あんまり考えなくてもことが足りてしまう環境ですからね。

 

武藤 いろいろなことやものが飽和している今の時代において、「情報が欠けている」ということが、実はクリエーティブな能力を高めることにすごくつながるんじゃないかと思うんです。後輩たちによく、「企画をする時にはイマジネーションが大切」と言うんですが、そのいいトレーニングとして、ラジオを聴くことを勧めることがあります。音を聴いてビジュアルを想像していくというプロセスが、イマジネーションを日常的に育てるいい訓練になりますから。

 

北川 不便さが、イマジネーションや行動力をかき立てるという部分は、すごくあると思います。よく「空腹は最高の調味料だ」って言うじゃないですか。好き嫌いが多い子でも、林間学校へ行くと間食ができないから、小腹が空いたどころではなく、極限までお腹が空いたところで食事になるわけなので、何でも食べるんですよ。普段だと、嫌いなものを残してお腹が空いても、そこから3時間我慢すれば、家に帰って冷蔵庫の中の好きなものを食べられるわけです。あと、サッカーがなぜ面白いかというと、手が使えない不自由さがあるからですよね。

 

武藤 欠けているからこそエネルギーが発生する。そう考えると、一見満たされている今の世の中では、学校でも仕事場でも、工夫をしていかないと、なかなか「考える力」が身につかないのかもしれませんね。

 

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<プロフィール>

北川史朗/KITAGAWA SHIRO
にしみたか学園三鷹市立井口小学校 主任教諭
1991年東京都小学校教員としてスタート。現在は、にしみたか学園(第二小学校、井口小学校、第二中学校)の研究主任として小中一貫教育を推進する立場にある。生涯一教員がモットー。


武藤新二/MUTO SHINJI
株式会社電通 汐留イノベーションスタジオ チームリーダー/クリエーティブディレクター
1992年、広告会社電通に入社。クリエーティブディレクション、コミュニケーションプランニング・商品ブランド開発設計、ソーシャルデザイン、メディアコンテンツ企画制作など、仕事の領域は多岐に渡る。2010年7月、電通社内に「汐留イノベーションスタジオ」を立ち上げ、社内さまざまなセクションから集まったクリエーター、プランナーを率いる。

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