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第17回:財団法人日本宇宙フォーラム主任研究員 山中勉

地球人を育てるために(1)

山中勉(財団法人日本宇宙フォーラム主任研究員)
武藤新二(汐留イノベーションスタジオ ディレクター)

2011年、SISのプロジェクトは、遂に宇宙へと広がることになりました。そのきっかけを作ってくれたのが、財団法人日本宇宙フォーラムの山中勉さんです。「詩」「教育」「絵本」「テクノロジー」......。山中さんとSISの想いが重なったキーワードについて、そしてこれからの活動について、意見を交わします。


『宇宙を「じぶんごと」として考えてみる』

wiith_sis_17_1_01.jpg武藤 ぼくらSISと山中さんが出会ったきっかけは、間接的に、東日本大震災が影響しているんですよね。

山中 そう。宮城県女川町の中学校への支援がきかっけでしたね。「現場」での出会いでした。

武藤地球人の心プロジェクト」は、主に詩、短歌、俳句、そして絵のワークショップを小・中学校、高校、大学と幅広く行っていらっしゃるということでしたので、ぼくらSISのClipCMPaPaCo Design Project等で培ったノウハウと掛け合わせることがきるのではないかと直感的に思いました。また、震災復興に至る「なにか」に活かすことができるかもしれないという想いも一致しましたし。ご一緒はできなかったんですが、実際、女川の中学校の文化祭に招かれて、ClipCMを活用したワークショップを開催しました。

wiith_sis_17_1_03.jpg山中 女川の先生方に受け入れられる方は信頼できる。
プラス若さですね(笑)。

武藤 ありがとうございます(笑)。それにしても「地球人の心プロジェクト」は、スケールの大きな構想ですよね。ワークショップを経て作った自分たちの作品が、デジタルデータとしてロケットで打ち上げられて、宇宙ステーションに保管されるわけですから。漠然と「宇宙からだと国境は見えない」とか「人類はひとつ」とかいわれるより、ずっと具体的に、子どもたちは「宇宙船地球号」的な感覚を持つことができるでしょうね。

山中 実はこの構想は、日本宇宙フォーラムに来る以前、IHIにいたときに、当時のNASDAへ提案したプロジェクトなんです。

武藤 どういった経緯を経て、実現に至ったのですか?

山中 1990年代後半から宇宙ステーションの建設が始まるわけですが、日本も、年間400億円程度の予算規模で参加していました。100%税金で成り立っているプロジェクトですから、完成したあかつきにはどうやって活用していくか、どうやって納税者に還元していくかということが、当時ひとつの議論になったんです。

武藤 国家プロジェクトということで、無重力下での素材開発とか、ライフサイエンス系の実験といった、専門性の高い活用方法以外のアイデアを、求められたわけですね。

wiith_sis_17_1_02.jpg山中 そうなんです。それで、宇宙ステーションの利用方法に関するアイデアの公募が行われることになり、ぼくらが企画した「地球人の心プロジェクト」の原形にあたるアイデアが、そのひとつとして採用されることになったんです。

武藤 宇宙時代が到来したことによって、教育や学びの場にも、これまでとは違ったかたちで積極的に「宇宙」というものを活かせるし、実際に提供できる、というアイデアの源泉は、どんなところにあったのですか?

山中 ある日、国際宇宙ステーションは完成するとサッカー場くらいの大きさになるから、太陽と月に次ぐ明るい天体として世界中から見える、ということに気がついたんです。その時に、自分の「想い」みたいなものが、宇宙の見えるところに保管されているという感覚は、これから先の世界を生きていく上で、すごく大事な感覚になるんじゃないかなと思ったんです。

武藤 自分の一部が宇宙にあるということで、宇宙を「じぶんごと」として捉えることができますからね。まさに、地球人という感覚を醸成するにはうってつけのアイデアが、その時生まれたわけですね。



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<プロフィール>

山中勉/YAMANAKA TSUTOMU
1958生まれ。天秤座。アポロ11号の月着陸がきかっけで、日本のロケット創りの元祖である日産自動車宇宙航空事業部(現在のIHIエアロスペース社)に入社。その後、日本の宇宙機関であるJAXAの主幹研究員(宇宙連詩作り)を経て、現在は、財団法人日本宇宙フォーラムの主任研究員(地球人の心ぷろじぇくとの推進)。この10年間は、国際宇宙ステーションを利用したコトバ紡ぎの発案、企画、推進に従事。アフリカのウガンダ共和国や、国際宇宙大学を含む、国内外の小・中・高・大・社会人学校等に出向き、コトバ紡ぎを実践中。今までに、40を超える国や地域の人々、約2万人からコトバを集め、6枚のディスクに収録して国際宇宙ステーションに打ち上げ保管。2011年には、その努力が認められ、宇宙飛行士の毛利衛氏とともに歴程特別賞を受賞。著書として『宇宙連詩』(共著)、『地球人の交換日記(1)みあげれば がれきの上に こいのぼり』(編著)がある。

 

武藤新二/MUTO SHINJI
株式会社電通 汐留イノベーションスタジオ チームリーダー/クリエーティブディレクター
1992年、広告会社電通に入社。クリエーティブディレクション、コミュニケーションプランニング・商品ブランド開発設計、ソーシャルデザイン、メディアコンテンツ企画制作など、仕事の領域は多岐に渡る。2010年7月、電通社内に「汐留イノベーションスタジオ」を立ち上げ、社内さまざまなセクションから集まったクリエーター、プランナーを率いる。

 

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