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第15回:ダンサー・振付師・タレント・俳優 パパイヤ鈴木

いまの日本には、「イイ」が必要だ(2)

『ダンスは、体重移動こそが大切。』

dialogue_with_sis_vol15_04.jpg武藤 今回『カズフミくん』を開発するにあたって、「普段とは逆の考え方をした」と仰っていたのがとても印象的でした。あれはどういったことだったのでしょうか。

パパイヤ ぼくは普段、アイドルや俳優など、ダンスがあまりで きない人に振り付けをすることが多いんです。たとえばあるステップを教えるときには、「反復横跳びみたいに」って言ってみたりだとか、「ここにバーがある と思って、それをくぐって」とか、その人がイメージしやすいような表現を使って、ダンスというよりは動き方を教えているんです。ただ今回の『カズフミく ん』は、そういう一対一の関係ではないところで、それこそ譜面のようにそれを見ただけで踊れなければならないので、とことん要素をそぎ落として行って、 「こうならざるを得ない」という状態をガチガチに作ることを心がけました。ダンスってリズム感が大事だって思われがちだけど、実は体重移動こそが大切なん です。というわけで今回は、体重移動をスムーズに行う術を、どうやって表現するかが最大のポイントでした。

武藤 最終的には、「1から4までの数字が書かれたマットを足 下に並べて、それを順番にふんでいく」、というスタイルに落ち着きましたよね。最初は8枚でやってみたけれど、逆に8歩分あると、なんでもできちゃうとい う"自由"が発生してしまって、混乱の元になってしまいかねない。とことんシンプルに研ぎ澄ましていって、4枚で行こうと決めたところが、すごくよかったと思います。

dialogue_with_sis_vol15_05.jpgパパイヤ 「ボックスステップ」と言っても「なんのことやら」といった感じでしょうし、「次の体重移動はこうです」と説明しても、なかなか伝わりづらい。だったら、4枚のマットをいろいろな配置で床に並べて、「1→2→3→4と ふんでいきます」って説明するのが、最もシンプルかなって。結果として、「初めてダンスをするけれど、なにをやったらいいのかわからない」という人がこれ を見て、「ああ、これでいいんだ!」って思ってもらえる作りになりましたよね。

武藤 そうですね。そしてシンプルだからこそ、「踊れた!」という事実の次のフェーズである「表現のオリジナリティ」を、自然に挟み込む余地が生まれてきやすいと思うんです。実際、下半身がこれだけ動くと、上半身で何か表現をしたくなってきますしね。

パパイヤ ほんと、そこなんですよ。人は自分の気持ちを相手に 伝えるために、話をしたり、絵を描いたり、音楽を奏でたりするんだと思いますが、ダンスもそうで、カラダを使って自分の気持ちを伝えるものだと思うんで す。で、そこにはテクニックも必要だとは思うのですが、「上手い」という視点とは別に、「味がある」ことで伝わる部分ってあると思うんですよね。オペラ歌 手の高音でビブラートがかかった歌声もすごいけれど、三線を弾き語りする沖縄のおっちゃんの声にも感動できる、みたいなね。そういう円熟味的な良さを、ぼ くは「イイ」って表現していて、上手いことよりも、イイねって思わせることこそが、とても大事なんじゃないかなって思うんです。

dialogue_with_sis_vol15_06.jpg武藤 そこは本当に大事なところだと思います。今回、教育現場にダンスが取り入れられるにあたって、「上手い」のほかにも「イイ」という評価基準があるということは、ぜひアピールしていきたいところですね。

 

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<プロフィール>
パパイヤ鈴木
1966年東京都生まれ。ダンサー、振付師、タレント、俳優。振付師の活動と平行して結成した『パパイヤ鈴木とおやじダンサーズ』が話題を呼び、一躍表舞台へ。現在は、ドラマや映画、バラエティへの出演を続けながら、振付師として多忙な日々を送る。

 

>>オフィシャルブログ
>>Twitter:@papayasuzuki
>>事務所公式サイト

 

武藤新二/MUTO SHINJI
株式会社電通 汐留イノベーションスタジオ チームリーダー/クリエーティブディレクター
1992年、広告会社電通に入社。クリエーティブディレクション、コミュニケーションプランニング・商品ブランド開発設計、ソーシャルデザイン、メディアコンテンツ企画制作など、仕事の領域は多岐に渡る。2010年7月、電通社内に「汐留イノベーションスタジオ」を立ち上げ、社内さまざまなセクションから集まったクリエーター、プランナーを率いる。

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