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第14回:NPO法人Teach For Japan代表理事 松田悠介

教育現場に、もっと社会性と時代性を(3)

 

『もっとアメリカに学びたい、CSRのあり方。』

 

武藤 話は変わりますが、今回の3.11の震災でも、例えば福島から避難してきた子が東京の学校に編入したけれど、いじめにあったり環境になじめなかったり、心にさらなる傷を負うケースが出てきています。あと十数年もすると移民の問題も現実味を帯びてきます。この先、TFJの存在、それに加えてぼくらのような民間企業の関わり合いがますます重要になっていく時代になりそうですね。

 

dialogue_with_sis_vol14_05.jpg松田 実際に震災の直後から、学習支援の提案が主に学生からいろいろとありました。でも話を聞いていると、TFJにとってのメリットが見えにくいんです。ギブだけ(笑)。でもあるときハタと気がついたんです。ぼくらも企業に対して、こういう状態だったんじゃないかって。つまり大儀をかざして支援だけを求めて、企業へのメリットを考えていなかったんじゃないかって。その反省もあり、現在はとある外資系企業と一緒に、震災で避難してきている子どもたち向けの英会話教室をスタートさせました。会社としては社員のモチベーションを充足させる意味があり、こちらはドネーションをしていただけるというメリットがあります。

 

武藤 日本ではまだまだボランティアやドネーションというと、尊いものだという意識が強すぎてなかなかウィン・ウィンの関係にはなりづらいと思うのですが、企業のCSRに対するニーズを上手く汲み取った、いいケースですね。

 

松田 ありがとうございます。実際、外資系の企業はCSRの使い方も上手だと思います。日本だとまだまだ木を植えるとか、企業イメージをアップする程度で止まっていますけれど、アメリカでは「戦略的CSR」といって、ボランティア活動による社員のモチベーションアップが生産性を上げることや、ドネーションによって貧困層のマーケットを活性化させることで全体の市場が活性化し、それが自社の利益につながっていくという分析が、きっちりとされています。

 

dialogue_with_sis_vol14_06.jpg武藤 確かゴールドマンサックスは、1年に一度、社員は必ずボランティアをすることになっていたはずですが、それも戦略的CSRなんですね。CSRのあり方は、日本の企業もまだまだ研究の余地がありそうです。そして今後は、企業だけじゃなくて、一般の人も意識を変えていく必要があると思うんです。精神的な充足感と引き替えに、寄付をしたりボランティアをしたりすることはとてもいいことだと思うのですが、もっと気軽に社会活動へ参加したり、それを継続的に行っていくことも大切です。そのためには、自分にとってのメリットをもっと明確にして、モチベーションを保ちながら取り組んでいかなければいけませんよね。

 

松田 TFJは、社会人にも参加を呼びかけています。実は私的な勉強会で文科省の若手と、通信教育や夜間大学で単位を取っていくことによって、TFJの2年間のプログラムが終了した時に、教員免許を授与できるような仕組みをつくっていきたいという話もしています。それによって、教育に思いを持っている社会人たちが、教育現場に来てくれることを期待しているんです。それこそ先程仰った移民の問題は、今後避けられないと思いますし、その時、既存の教育体制では、十分な教育は与えられないと思うんですよね。

 

武藤 価値観や技術がますます多様化していく中で、本当に必要な知識を知っているのは、その先端で活動をしている社会人ですからね。人づくりは未来づくり、ということで、我々SISも、積極的に教育現場と関わっていきたいと考えています。TFJさんとは、今後もパートナーとして長いお付き合いをしていきたいですね!

 

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<プロフィール>
松田悠介/Yusuke Matsuda(Teach For Japan 代表理事)
日本大学文理学部体育学科卒業後、体育科教諭として都内の中高一貫校に勤務。体育を英語で教えるSports Englishカリキュラムを立案。部活指導では都大会の予選ですら勝つ事ができなかった陸上部を全国大会に導く。その後、千葉県市川市教育委員会 教育政策課分析官を経て、2008年9月、ハーバード教育大学院修士課程(教育リーダーシップ専攻)へ進学し、修士号を取得。卒業後、PricewaterhouseCoopersにて人材戦略に従事し、2010年7月に退職。Teach For Japanの創設代表者として現在に至る。

 

>>Teach For Japan
>>Twitter:@matsudaedu

 

武藤新二/MUTO SHINJI
株式会社電通 汐留イノベーションスタジオ チームリーダー/クリエーティブディレクター
1992年、広告会社電通に入社。クリエーティブディレクション、コミュニケーションプランニング・商品ブランド開発設計、ソーシャルデザイン、メディアコンテンツ企画制作など、仕事の領域は多岐に渡る。2010年7月、電通社内に「汐留イノベーションスタジオ」を立ち上げ、社内さまざまなセクションから集まったクリエーター、プランナーを率いる。

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