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第10回:ブックショップ「ユトレヒト」代表 江口宏志

コンパクトな集団だからこそ可能な創造[こと](3)

 

『子どもたちの可能性を引き出すものとは?』

 

dialogue_with_sis_vol10_05.jpg 江口 ところで、僕も娘がいるパパなので、PaPaCo Design Projectにはとても興味を持ちました。実際、娘は『スカイキャンバス』をすごく気に入っていますしね。このiPhone用のアプリを開発するにあたって、どんな背景があったのですか?

 

武藤 知人と話している時、「週末に家族でディズニーランドへ行ってきた」という話題になったんです。彼は「楽しかった」と言っているのですが、よくよく聞いてみると、列に並んでいる間、奥さんは携帯でゲームをやり、子どもはDSをやり、彼は本を読んでいる。つまり、家族の会話が全くなかったみたいなんです(笑)。ゲームって決して悪いものではないと思うのですが、せっかく親子でいるのに、そこにコミュニケーションが発生しないのはもったいないんじゃないかなと、そのとき思ったんです。

 

江口 PaPaCo Design Projectから生まれた3つのアプリは、確かにどれも、使いながら自然と会話が発生したり、その後の行動を誘発するようなものですよね。それにしても、子どもってこういったテクノロジーをあっという間に使いこなすから、すごいというか、ちょっと恐いというか。ゲームへの接し方は、正直悩んでしまいます。「持っていないと仲間はずれになるかも」っていう親心もありますし。

 

武藤 ファミコンで育ってきた世代が親になっているので、ゲームをすることへの敷居の低さは、かつてないほどだと思います。でもそんな時代だからこそ、逆にきちんと、学校でゲームのこととかプログラムのことを教えてもいいんじゃないかと思うんです。考えてみたら僕も子どもの頃、父親にマイコンを買ってもらって、パソコン雑誌を見ながらプログラムを打ち込み、ゲームを作っていましたから。他愛のないレベルでしたけれど、それでも、仕組みを理解することはできましたよね。

 

江口 大人から与えられたものを疑問も持たずに使っているだけだと、好奇心が鈍ってくるし、何より、新しいものが生まれてきづらくなりますからね。

 

dialogue_with_sis_vol10_06.jpg 武藤 ゲームではありませんが、SISでは、ClipCMというアプリを使って、コミュニケーションにまつわる授業やワークショップを行っています。今、小学校の授業にiPadを持ち込んで参加しているのですが、先生たちよりも早く、子どもたちはiPadを使いこなしています。新しいデバイスとはいえ、道具という意味では鉛筆や紙と変わらないわけですから、それを使いこなすだけではなく、それを使って「何をするか」ということが大事になってくることを、子どもたちが感じてくれればと思っています。

 

江口 SISって、本当に面白い活動をしていますね。

 

武藤 まあ極端に言ってしまえば、日常業務とはひと味違った、クラブ活動のようなものですよ(笑)。まだ小さな活動ばかりですが、続けていくことで、新しく大きな価値が生み出されるのではないかと本気で考えています。江口さんも、ユトレヒトのほかに、自主活動を積極的になさっていますよね。

 

江口 最近だと、「D♥Y」という体験・共感型のイベントを手がけています。その場で作る、オーダーする、作って食べる、みんなで歌う......。東京にいて、つながりみたいなものを大事にしながらものを作っている人が集まるイベントってありかな、と思って始めました。今回が第3回目なのですが、SIS、ぜひ参加していただけませんか?

 

武藤 できあがったものが陳列している展示会とは違って、それこそスタジオ感、ライブ感がありそうなイベントですね。ぜひ参加させてください!

 

*その後、2011年2月6日にCLASKA のThe 8th Gallery+屋上で開催された「D♥Y」のトークリレーに参加している。

 

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<プロフィール>
江口宏志/Hiroshi Eguchi
1972年長野県生まれ。明治大学経営学部卒業。2002年ブックショップ「ユトレヒト」をオープン。2008年には表参道にギャラリースペースの併設されたショップ「UTRECHT/NOWIDeA」をオープンした。国内外のアーティストとのネットワークを生かした独自のセレクト、企画展示を行っている。「MUJI」店舗内の「MUJIBOOKS」等、様々な本のある空間のディレクションも行う。2009年からスタートした東京初のアートブックフェア「ZINE'S MATE, THE TOKYO ART BOOK FAIR」では共同ディレクターを務める。2010年には体験、共感型の新しいイベント「D♥Y(ディー・アイ・ワイ)」を企画・開催。国連大学前広場で行われている「FARMER'S MARKET」に併設する本の直売所「BOOKMAN'S MARKET」のディレクションも行っている。

 

>> UTRECHT

>> NOW IDeA

>> ZINE'S MATE

>> D♥Y

 

武藤新二/MUTO SHINJI
株式会社電通 汐留イノベーションスタジオ チームリーダー/クリエーティブディレクター
1992年、広告会社電通に入社。クリエーティブディレクション、コミュニケーションプランニング・商品ブランド開発設計、ソーシャルデザイン、メディアコンテンツ企画制作など、仕事の領域は多岐に渡る。2010年7月、電通社内に「汐留イノベーションスタジオ」を立ち上げ、社内さまざまなセクションから集まったクリエーター、プランナーを率いる。

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