next

第10回 イメージ

第10回:ブックショップ「ユトレヒト」代表 江口宏志

コンパクトな集団だからこそ可能な創造[こと](1)

 

江口宏志(ブックショップ「ユトレヒト」代表)
武藤新二(汐留イノベーションスタジオ ディレクター)

 

2010年11月、SISは『むすぶしくみ展』と題したエキシビションを行いました。会場は、青山にあるNOW IDeA。アートブックやリトルプレスなど、エッジの効いた稀少性の高い本や雑誌を取り扱うブックショップ「ユトレヒト」が運営する、話題のギャラリーです。今回のDialogue with SISは、そんな「ユトレヒト」を率いる江口宏志さんとともにお届けします。

 

 

『これから問われるのは、働き方、稼ぎ方のサイズ感。』

 

武藤 『むすぶしくみ展』では、大変お世話になりました。当時SISはまだ結成して日が浅かったので、「何ができて、何が得意な集団なのか」ということを、まだ明快にプレゼンテーションできていませんでした。そんな僕らを様々な方に「発見」してもらうという意味でも、発信力のあるNow IDeAでエキシビションができたことは本当にラッキーだったと思います。

 

dialogue_with_sis_vol10_01.jpg 江口 デザインウィークの期間中でもあったので、様々なメディアにも取り上げられましたよね。僕も実際に展示やワークショップを拝見していて、「とても面白い活動をしているな」と思いました。でも一番興味を持ったのは、武藤さんが何でSISを立ち上げたのかってことですけど(笑)。

 

武藤 僕たちは電通という広告会社の社員で、当然、普段は広告の制作に携わっているわけですが、実は、他ジャンルの方々と仕事をする機会ってそんなに多くはないんです。そこで様々なジャンルで活躍しているクリエーターや、学生や地方に暮らすクリエーターといった、まだ「見えていない才能」と仕事をしてみたい、と思いました。もうひとつは、大企業に属しながらスモールユニットを作って活動をすることで、組織全体を活性化する役割を担えたら、とも考えました。働き方や稼ぐ金額のサイズ感って、これからの時代、とても重要なことなんじゃないかと思うんです。アーティストやメディア、NPOなど、自己責任で自分を表現している人や組織がうらやましかったのも事実ですが(笑)。その点、江口さんの活動は、そのサイズ感も含めてとても興味深いです。

 

江口 実際、facebookやTwitterといったソーシャルメディアが普及したおかげで個人でやれることが増えたので、すごく楽になりました。以前は、会社を大きくしなければやっていけないのかなとも思っていたけれど、そんなことは全くない。むしろ「小さいけれどこれに関しては能力があります」っていう部分を、深めていくことが大切なんだなって思います。

 

dialogue_with_sis_vol10_02.jpg 武藤 「江口さんがやっていることなら」っていう信頼感が醸成されているから、ユトレヒトを始め、顧客の忠誠度がとても高いという気がします。その忠誠度の高さこそ、人が集まってきたり確実に消費をしてくれたりといったことにつながるわけで、これからの時代、数の多さよりも、この忠誠度の高さの方が重要なんじゃないかって思いますね。あと、小さくてもリアルショップがあるということが、実はとても大事なのではないかと思います。

 

江口 お店は、止めたいと思ったこともありますけど、実際、在庫があるので止められません(笑)。まあでも、場所作りって実際に面白いですし、こういったリアルな場所があるからこそ、人が集まったりアイデアが生まれたりという部分もありますからね。

 

武藤 その「人が集まってアイデアが生まれる」感じは、僕らが目指す、「スタジオ」のイメージそのものなので、見習っていきたいところです。

 

(1) (2) (3)

 

 

<プロフィール>
江口宏志/Hiroshi Eguchi
1972年長野県生まれ。明治大学経営学部卒業。2002年ブックショップ「ユトレヒト」をオープン。2008年には表参道にギャラリースペースの併設されたショップ「UTRECHT/NOWIDeA」をオープンした。国内外のアーティストとのネットワークを生かした独自のセレクト、企画展示を行っている。「MUJI」店舗内の「MUJIBOOKS」等、様々な本のある空間のディレクションも行う。2009年からスタートした東京初のアートブックフェア「ZINE'S MATE, THE TOKYO ART BOOK FAIR」では共同ディレクターを務める。2010年には体験、共感型の新しいイベント「D♥Y(ディー・アイ・ワイ)」を企画・開催。国連大学前広場で行われている「FARMER'S MARKET」に併設する本の直売所「BOOKMAN'S MARKET」のディレクションも行っている。

 

>> UTRECHT

>> NOW IDeA

>> ZINE'S MATE

>> D♥Y

 

武藤新二/MUTO SHINJI
株式会社電通 汐留イノベーションスタジオ チームリーダー/クリエーティブディレクター
1992年、広告会社電通に入社。クリエーティブディレクション、コミュニケーションプランニング・商品ブランド開発設計、ソーシャルデザイン、メディアコンテンツ企画制作など、仕事の領域は多岐に渡る。2010年7月、電通社内に「汐留イノベーションスタジオ」を立ち上げ、社内さまざまなセクションから集まったクリエーター、プランナーを率いる。

next

Information from NewEntry

第17回:財団法人日本宇宙フォーラム主任研究員 山中勉

地球人を育てるために(3)『詩×宇宙×IT=地球人!』武藤 今回SISとの取り組みとして、...

第17回:財団法人日本宇宙フォーラム主任研究員 山中勉

地球人を育てるために(2)『地球人としての視点が芽生えるまで』武藤 そもそも山中さんご自身...

pagetop